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株式市場と不動産価格の関係

株価と不動産価格の間に直接的な関係が存在することを示す統計的根拠は、今のところ見出されていません。米CXO Advisory Groupのレポートによると、中長期的な傾向として既存の住宅販売価格の中央値とS&P 500指数の年終値の双方が一般的に上昇傾向にあるとのことですが、それがすなわち株価指数と不動産価格との因果関係を証しているとまでは言えません。両者とも別の要因によって上昇傾向を示しているだけのことであって、両者の直接的な関係があるとは限らないからです。

ともかく、活況を呈する株式市場は将来の不動産購入者にとってより多くの利益をもたらす抽象的な可能性はあるものの、株式市場の動向と不動産価格の変動との間に具体的かつ直接的な関係は、今のところ見出されないことのようです。

では、不動産投資家にとって株式市場の動向への関心が不要であるかと言うと、必ずしもそうではありません。否それどころか、不動産投資にとって株式市場の動向への注視は必要である場合すらあります。株価と不動産価格は、1970年から2011年の約40年にかけてともに増加しましたが、不動産価格の上昇は、株価の上昇よりもスムーズで安定していました(不動産市場と株式市場の双方の価格が、バブル経済の到来とその崩壊期など多少の変則的な時期もあったものの、大局的に見れば40年以上にわたって上昇してきました)。

インフレの進展は不動産価格と株価双方に影響を及ぼすことはわかります。インフレの進展は貨幣価値を下げ、資産価格を押し上げます。例えば、世界経済を牽引する米国の状況を見ても、2007年から2013年の間に見られたような低いインフレ率でさえ株価を上昇させてきました。2000年代初頭から2007年にかけての住宅バブル期の暴走ほど劇的なものは滅多にありませんが、不動産価格と株式市場価格の両方が時間の経過とともに緩やかに上昇しています。

不動産などの資産価値は、一般的に需要と供給の関係として理解されています。供給が需要を上回った場合、つまり売り手が買い手を上回った場合、価値は下落します。不動産の価値が下落するかどうかは経済状況が大きな影響を及ぼしますが、不動産の状態や場所などの他の要因も影響を及ぼすことはもちろんのことです。経済状況の変化は、不動産市場における需給の均衡が崩れることを意味します。

経済の弱さは失業率の上昇を意味し、新しい住宅を購入したりアップ・グレードしたりしようとする人が少なくなります。住宅は市場に長く留まり、売値は下がる。突然仕事を失った人々は自らの家を売ることを余儀なくされるかもしれません。これにより特定の地域で不動産の余剰が生じ、価格がさらに下がります。住宅ローン金利が高くなると毎月の支払いが増え、潜在的住宅購入者を遠ざけるので、金利上昇は住宅価格を押し下げます。

しかし、強い経済状況のために金利が上昇している場合、活況を呈している雇用市場はより多くの人々が不動産を購入する余裕があることを意味するため、価格は影響を受けないこともありえます。経済の成長・低金利・低い頭金は、住宅が過大評価される状況いわゆる“住宅バブル”を生み出します。住宅が過大評価され、人々が自分たちの支払能力の範疇を超えて追加の債務を引き受けたため、米国では、“住宅バブル”が2008年の金融危機につながったと指摘する人もいます。

2008年、世界中の投資家は、米国の国内住宅市場が崩壊し始めた場合に株式市場に何が起こるかを目撃しました。不動産市場が株式市場にどの程度影響を与えるかは理解できましたが、反対に、株式市場が不動産市場に影響を与えるのでしょうか。

不動産市場と株式市場は、“信用”に関係しています。人々が住宅を買う時、通常、住宅価格の一部を頭金として前払いし、残りの資金を金融機関のローンに頼っています。投資家のセンチメントや株式市場での行動に大きく影響される国内経済の健全性によっては、貸出金利が上下します。ボラティリティが低い時期には、借り手のローン返済能力に対する信頼が高まるため、金融機関は金利を引き下げるし、逆に、ボラティリティが高い時期には、不確実性のために金利が上昇します。どちらの状況でも、株式市場はボラティリティと市場リスクの大小に影響を与える上で重要な役割を果たします。

通常、株価指数の変動と消費者心理には相関関係があるとされています。主要指数が上昇すると、一般的に消費者の楽観主義が高まります。同様に、指数が落ち込むと、消費者は通常、より悲観的になる。これを念頭に置いて、株式市場の健全性が個人・法人含め不動産購入の決定にどのように影響するかを見ることができます。

市場が活況を呈している場合、消費者は、不動産を購入する機会を時間の経過とともに価値を得る優れた投資と見なす一方、株式市場が下落している状況では、不動産購入は資産ではなく負債に変わりうるリスクの高い投資と見なされることがあります。いずれの場合も、株式市場の健全性は国内経済全体で消費者が行う様々な購入決定の指針として機能します。

株式市場が活況を呈し、将来の買い手が豊富な場合、金融機関は物件不足と激しい競争のために競争力のある資金調達条件を提供する必要はありません。しかし、利用可能な物件数が購入者の人口規模を遥かに上回っている場合、金融銀行は購入者に対応することを余儀なくされます。株式市場と不動産市場の間に直接的な相関関係は存在しないとの主張はおそらく正しいのでしょうが、株式市場の変化が不動産購入者の考え方と熱意にどのように影響するかを念頭に置いて、不動産を購入する準備ができている人々は、金融機関との交渉中に市場のボラティリティを有利に活用できるかどうかを判断するために株式市場をチェックしておくとよいかもしれません。

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