U&A
公式ブログ

容積率の移転について

土地に上物を建築するには、定められた容積率(建築物の延床面積の敷地面積に対する割合)を満たすことが最低条件であることは、おそらく誰もが知るところでしょう。しかも、容積率は、単に都市計画上の容積率だけではなく、建築基準法上も許容される容積率を満たさないといけません。さもないと、土地を仕入れたものの、予定していた上物が建築できないことが判明するという、笑うに笑えない事態を招いてしまいます(シェアハウスのサブリース(不動産転貸)事業を展開していたものの、社会問題を引き起こした某社の建物を見ると、明らかに建築基準法の条件を満たさない建物も含まれていました)。

それはさておき、容積率について改めて確認すると、敷地の前面道路の幅員が12m未満の時、用途地域が住居系の場合には道路幅員に0.4を、その他地域の場合には道路幅員に0.6に乗じて求めた数値(建築基準法の容積率)と、都市計画上の容積率とを比較し、低い方の容積率が実際に利用できる容積率となります。なお、前面道路の幅員が12m未満である場合でも、幅員が6m以上で、幅員15m以上の特定道路から70m以内にあるという条件を満たしている敷地については、建築基準法52条2項で緩和規定が設けられています。

具体例をあげて説明して見ましょう。ここに、A地とその隣地B地があり、A地の前面道路の幅員を6m、B地の前面道路の幅員を12mという設定にします。仮に、都市計画上の容積率は400%であったとしても、A地の基準容積率は、前面道路が6mなので、6m×0.6=360(%)となります。対して、B地の基準容積率は、前面道路の幅員が12m以上あるので、都市計画上の容積率通り400%ということになります。

このA地に、3階建で延床面積600㎡(容積率300%)の建築物があるとします。そうすると、基準容積率360%のうち60%だけ余っているという計算になります。隣地のB地で基準容積率400%を超えた高層建物を建築したいとすると、A地の余剰容積率の60%を譲ってもらって460%の容積率の建物を建築したいところですが、そうは問屋が卸しません。

A地とB地を一つの敷地として、この敷地にA建物とB建物との2棟を建築する旨の建築確認をしたとしても、一つの敷地には一つの建築物との原則を崩す例外として認められることはないでしょうから、それならば、思い切ってA建物とB建物とを一つの建物とすればどうでしょうか?すなわち、A建物の増築という理屈で構成すれば、A・Bという一つの敷地に一つの建築物を建築するのだから可能になるのではと考えるわけです。ただ、そのためには、A建物とB建物との間の部分などを廊下なり地下道なりで接続して、建築基準法上一つの建築物と認められる構造にしなければならないことになるでしょう。

仮に、建築基準法上一つの建築物であると認められるだけの条件を満たせた場合、A地とB地が一つの敷地となり、この敷地の全体が幅員12mの道路に面することになります。そうすると、基準容積率はB地を含めて400%、すなわち敷地全体で延床面積1600㎡まで建築可能となり、既存A建物部分で使用していた600㎡を引いた1000㎡の延床面積の建物が建築できることになるというわけです。

ただ、これを面倒と感じる人もいるでしょう。というのも、この方法は二つの建物を繋げて一つの建物にしなければならないことから、両者の権利処理の点で問題含みだからです。

そこで、B建物をA建物に繋げてなくても、それぞれ別の二つの建物としたままで、A地の余剰容積率をB地に譲渡してB地の基準容積率に加えてB建物を建築する方法が、建築基準法86条2項で新設された連担建築物設計制度です。例えば、商業地域で都市計画上の指定容積率が400%の地域に、A地とこれに隣接する同面積のB地があるとします。それぞれ別個に建築する場合、A地は前面道路の幅員が20mであるので指定容積率と同じ容積の400%の建築が可能ですが、B地の前面道路の幅員は4mであるので、建築できる限度は240%となります。

連担建築物設計制度を利用して、二つの敷地を一つの敷地とみなす認定をしてもらうと、A地・B地とが一体として幅員20mの道路と4mの道路とに面することになり、B地を含めた土地の基準容積率は400%となります。そうすると、B地上の建物の容積率を240%とし、増加した160%の容積率をA地の建物に移転すれば、容積率560%の建物を建築することができるというわけです。これは、特に道路斜線制限による高さ制限によって容積率の限度の建物が建築できない場合にも利用できる場合もあります。

関連記事一覧