前回のコラムの続きになりますが、“メタバース不動産”は、仮想世界の“土地”の区画のことでした。簡単に言えば、ピクセルです。但し、それらは単なるデジタル画像ではありません。それらは、人々が交流したり、ゲームをしたり、会議に参加したり、バーチャル・コンサートに行ったり、その他の無数のバーチャルな活動を行ったりできる仮想現実プラットフォームのプログラム可能な空間のことでした。
メタバースの台頭に伴い、デジタル不動産も同様に成長および拡大すると予想されます。 2021年の第4四半期には、Facebookがその名前をMETAに変更し、メタバースへの関心が集中していることを示した後、”メタバース不動産“ブームがありました。その人気が高まり続けているため、”メタバース不動産“の価値は2020年代後半には現在よりも評価されることになるだろうと予想されています。
“メタバース不動産”は、ユーザーが他の人々とオンラインでつながる場所を提供します。個人は、デジタル化された土地を使用してゲームをプレイしたり社交したりできますし、クリエイターは、課金したりNFTを取引したりすることで自分のコンテンツを収益化できます。
不動産投資家にとっても、これらのデジタル化された“土地”区画は有利な機会を提供するかもしれません。現実生活と同様、メタバース資産としての“不動産”を開発し、それを賃貸に回すことで利益を得ることができます。
メタバース資産の購入は、NFTの購入とほとんど同じです。所有権の証書は、ブロックチェーン上のコードがその代わりとなります。このコードは、そのデジタルLAND(“土地”)に対する所有権を証明するものです。
メタバースの不動産ポートフォリオを始めるには、独自のデジタル暗号ウォレット(“財布”)が必要です。一部のプラットフォームでは、取引に特定の仮想通貨(暗号資産)が使用されているため、新しいウォレットにサインアップする前に確認した方がいいでしょう。次に、メタバース・プラットフォームにアクセスし、サインアップしてアカウントを作成します。“土地”やその他の資産を購入するには、デジタル・ウォレットをプラットフォームにリンクする必要があります。
現実世界の不動産と同様、ブローカーや不動産管理者を通じてメタバースの“土地”を購入することもできます。但し、現実世界とは異なり、メタバース・ブローカーはライセンスを必要とせず規制もありません(宅地建物取引業の免許は不要です。当たり前ですね。“不動産”といっても、これはあくまで比喩的な表現の域を出ませんから)。そのため、信頼できる業者と取引するようにしないと痛い目に遭います(もっとも、宅建業者でも悪徳業者は山のように存在しますが)。
“メタバース不動産”の大部分は、いわゆる“BIG 4”が所有しています。この“BIG 4”は、メタバース経済の主要プレーヤーであり、Decentraland、Sandbox、Somnium Space、Cryptovoxelsの4つです。Sandboxは現在、”メタバース不動産“の支配的地位にあり、市場全体の約6割を所有しています。ここのLAND(“土地”)は現在、平均11,000ドルの費用がかかり、プレミアム・ロットともなると、2万ないし3万ドルで販売されているそうです。
Sandboxはまた、スクウェア・エニックスやSnoop dogなどの有名人と戦略的パートナーシップを築いています。これらのパートナーシップにより、クリエイティブな空間としても投資プラットフォームとしても魅力的になりつつあります。
Decentralandは、イーサリアム・ブロックチェーン上に構築された3D仮想現実プラットフォームです。区画された“土地”の所有権は、グリッド上の特定の座標と区画を対応させるLAND NFTを通じて付与されます。ここでは、LANDを購入するには、ユーザーはMANAトークンを持っている必要があります。Decentralandの仮想世界は“地区”ごとにクラスター化されており、各“地区”には独自のタイプのコンテンツがあります。
Minecraftをプレイしている場合は、Cryptovoxelsで自宅にいるように感じるでしょう。この仮想世界では、”土地“を購入し、モノクロ・ブロックを使用してその上に構築します。このプラットフォームには、編集、アバターの作成、チャット用のツールも組み込まれています。クリエイターやブランドは、デジタル化された土地を購入して、厳選されたコレクション、製品、またはサービスを展示するギャラリーや店舗を建設できます。
Cryptovoxelsの”土地“区画は現在、1ロットあたり平均5,000ドルで販売されていますが、物件の規模と場所によっては、価格が10,000ドルを超えることもあります。イーサリアム・ブロックチェーン上の他の仮想世界と同様に、”土地“の所有権はブロックチェーンに永続的に記録されます。
Somnium Spaceは、完全にプレイヤー自身によって構築されたブロックチェーンの仮想現実メタバースです。3D仮想世界は、デスクトップやモバイル・デバイスでアクセスできる没入型の仮想現実体験をユーザーに提供しています。Somniumの土地区画とゲーム内アセットはトークン化されています。所有権は認証され、イーサリアムとソラナのブロックチェーンに記録されます。
”メタバース不動産“への投資を計画している場合は、開発の可能性がある分野を探すことが賢明でしょう。人が集まる可能性のある場所は、目立たない場所よりも価値があります。開発地区内ではないが近くにある土地のプロットを検討するのもアリかもしれません。比較的低廉な価格でこれらの資産を獲得し、価格上昇を期待することができます。
ちなみに、Sandbox LANDは2021年に15,000%成長しました。また、同年の仮想LANDでの65,000件の取引で総額3億5,000万ドルという取引量を記録しました。2021年には、4つの主要なプラットフォームでの”メタバース不動産“の売り上げは5億100万ドルに達し、2022年は2倍の10億ドルを超えています。2020年のメタバースの市場規模の価値を476億9000万ドルとした調査研究では、同じ市場が2028年には8289億5000万ドルの収益をあげるだろうと予測しています。
”メタバース不動産“に関するほとんどの統計は、その前途を肯定的に見ているかのように物語っています。これらは、仮想プラットフォームの初期の”入植者“にとって大きな利益をもたらすことを示してもいます。
というように、“メタバース不動産”の魅力的な面を強調するきらいがなきにしもあらずですが、もちろんいくつかの懸念事項が存在しています。この点については、次回のコラムに回したいと思います。